S&Pは、 シンガポール、 マレーシア、 フィリピンのカジノ市場が回復に向かうと予測しています。 ゲーミングフロアには再び活気が戻り、 売上はコロナ前のピークに並ぶ、 あるいはそれを上回る可能性も。 地元客や旅行者の復帰に加え、 中国人観光客が先頭に立って回復をけん引しています。 シンガポールとマレーシアへの渡航者数は、 すでにパンデミック以前の水準に迫っています。
プレミアムマス市場 (中高額プレイヤー層) は、 依然として業界の屋台骨です。 裕福なプレイヤーたちは経済の不透明感にも関わらず、 積極的に賭けに参加し、 滞在時間も長く維持しています。 この傾向が、 地域全体の収益急増を支えています。
シンガポールでは、2024年2月から中国人に対するビザ免除政策が始まり、訪問数が急増。第1四半期の売上は50%上昇しました。マレーシアも2023年12月に同様の措置を取り、両国ともに入国規制の緩和による恩恵を受けています。
Genting Bhdは、シンガポールとマレーシアの両都市にカジノ施設を持つ地域の巨人であり、次はニューヨークのカジノ市場進出を狙っています。アメリカでのフルライセンスを取得できれば、Resorts World New York Cityの事業は一気に加速します。逆に、それに失敗すれば、米国での野望に打撃を与える結果となるでしょう。
一方、アジア太平洋地域の他国では課題が浮上しています。カンボジアでは、かつて収益の7割を支えていたジャンケット業者が撤退し、カジノ業界は苦戦中。中国のマネーロンダリング対策も、地元のホール運営に重くのしかかっています。タイでは、注目されていたカジノ合法化法案がまたも廃案に。観光振興を理由に導入を求める声はあったものの、法制化には至りませんでした。
一方で、オンラインベッティングは市場全体を押し上げています。テクノロジーの進化が、デジタルギャンブルの急成長を後押し。今年、アジア太平洋地域におけるウェブベースの賭け市場は210億米ドル規模に達する見込みです。スマートフォンの普及や所得向上もあり、成長率は年間12.8%と予測されています。この傾向は2033年まで続くと見込まれています。